左上の糸切り歯の差し歯が取れてしまった人です。
何度か治療を繰り返したのか、土台を歯根に差し込んでいる部分が太く、歯質はうすくなってしまっていて、歯肉の深いところまでむし歯が進行していました。
歯を残して行くことは難しいけれども、根管治療を施したあとで歯根を矯正的に引っ張り出すことでなんとか抜歯せずに残して行く計画を立てました。
両隣の歯に針金を接着して、歯根に設置したフックとの間をゴム紐で結びます。
ゴムの張力で徐々に歯根を引っ張り出します
写真はある程度引っ張り出しが進んだところです。
もう少し進んだところで歯根を使おうとしたところ、
歯根は割れてしまっていました。
そこで、抜歯をしてインプラントを埋入する計画に変更しました。
しかし、そこですぐに抜歯をするのではなく、さらに矯正的挺出を進めて歯根を引張り出しました。
このレントゲンにはヒビが入ってたところが割れて分離してきています。
歯を抜くと、歯ぐきは吸収されて痩せてしまいます。
歯ぐきが痩せてしまうと、インプラントの安定という点で不利になりますし、見た目的に歯が長くなりすぎたり、清掃しにくい形態になってしまいます。
歯を引っ張り出すと、歯につられて歯肉と歯槽骨も伸びてきます。
そこで、歯をそのまま引っ張り出し続けて、歯肉と骨を増やしてから抜歯して即時にインプラントを埋入する計画を立てました。
このレントゲン写真では最初の写真よりも歯が出てきて骨も添加されているのがわかると思います
抜歯と同時にインプラントを埋入しました。
引っ張り出すのに時間はかかりましたが、抜歯後治癒を待ってから行う場合とトータルとしては同じ期間で治療が進みますし、周囲組織の条件は良くなります。
また、引っ張り出さずに即時埋入したほうが早くは出来るのでしょうが、周囲組織の状態は引っ張り出したほうが良好で安全です。
4か月後に上部構造の製作に移ります。
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